「マーフィーの法則」

学校の怪談 怖い話

怖い話「マーフィーの法則」

17歳の高校生、隆一(りゅういち)は、日々の生活に絶望を感じていた。成績は中の下、友人も少なく、家庭環境も複雑だ。そんな彼がいつも頭に浮かべる言葉が「マーフィーの法則」だ。

「悪いことは必ず起こる」。彼の人生はまさにこの法則に支配されているようだった。学校での失敗、家庭での不和、友人とのすれ違い。あらゆる出来事が彼にとっての「マーフィーの法則」だった。

ある朝、隆一は目覚まし時計の故障で遅刻しそうになる。慌てて家を飛び出すと、雨が降り始め、傘を忘れたことに気づく。「これだから」と隆一は呟き、もう慣れたようにその不運を受け入れた。

しかし、この日はいつもと違った。学校に着いた彼を待ち受けていたのは、想像を超えた恐怖だった。クラスの授業中、突然停電が起き、教室が真っ暗になる。そして、奇妙な音が響き渡り、生徒たちが一斉にざわつき始めた。

「何かいる…」という声が漏れる。だが、教師も何も言わず、ただ動揺するクラスを眺めていた。

その瞬間から、隆一の周りで不思議な出来事が次々と起こり始めた。停電が終わり、照明がついた瞬間、彼の机の上には見覚えのない紙が置かれていた。そこには「逃げろ」とだけ書かれている。心拍数が急上昇し、全身に冷や汗が流れる。

授業が終わると、隆一は急いで校舎を出ようとしたが、次の瞬間、学校中の時計が一斉に12時を示し、時報が鳴り響いた。だが、時計は壊れていたはずだ。恐怖に駆られ、彼は廊下を駆け抜けたが、出口にたどり着くと、扉が固く閉ざされていた。

「マーフィーの法則だ…何でも悪いことが起こる…」その言葉が頭の中でリフレインし、彼の心に恐怖が増していく。

学校の中で迷路のように彷徨う隆一は、友人や教師に助けを求めようとするが、誰一人として姿が見えない。廊下に響くのは彼の足音だけ。次第に彼は、自分が何かに見られている感覚に襲われ始めた。

そして、何かが近づいている足音が背後から響き渡る。振り返っても何も見えないが、確実に迫ってくる音。パニック状態になった隆一は、再び学校の出口を探し求めるが、すべての道が閉ざされていた。

「何が起こっているんだ…」

最終的に隆一は、無人の教室に辿り着き、その中で唯一の光源であるパソコンのモニターを見つける。モニターには、隆一の名前が連続して映し出され、やがてその文字は「終わり」の一言に変わる。

その瞬間、彼の体が重くなり、目の前が真っ暗になる。何が起きたのか理解する間もなく、隆一の視界は完全に途絶え、彼は学校の中で静かに消えていった。

マーフィーの法則は、隆一のすべてを飲み込み、彼の運命を最悪の形で終わらせたのだ。

この物語は、単なる偶然の連鎖ではなく、マーフィーの法則という絶望的な原理が働いていることを示している。悪いことは常に続き、逃れることはできない。隆一のように、誰もがその法則に縛られ、やがて破滅へと向かっていく運命を持つのかもしれない。

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