怖い話「デグロービング損傷: 絶望の皮膚下に潜む未知の恐怖」
この物語は、私がかつて遭遇した恐怖の体験を記録したものであり、皆さんがその恐怖を共有する覚悟があるならば、読み進めていただきたい。
物語の舞台は、古びた炭鉱町にある一軒の病院だ。病院は町の外れにあり、周囲には鬱蒼とした森が広がっている。かつては炭鉱労働者のための施設として栄えていたが、今ではその役割もほとんど失われ、ひっそりと佇んでいるだけだ。
私は医学生としてその病院に派遣され、研修のため数週間滞在することになった。到着した初日、私を迎えたのは老朽化した設備と不気味な静けさだった。日中は患者の少ない病院で、私の仕事は主に書類整理や軽度な診察補助であった。しかし、ある日、奇妙な患者が運び込まれてきた。
その患者は、全身に激しい外傷を負っており、特に腕がひどく損傷していた。皮膚が骨から剥がれ落ち、筋肉や血管が露わになっているその姿は、私の目には凄惨なものに映った。患者の意識はもうろうとしており、時折うめき声を上げながら「何かが…中にいる…」と呟いていた。
「デグロービング損傷だな」と、年老いた医師がつぶやいた。私は初めて耳にする言葉だった。医師によれば、これは皮膚が剥がれる恐ろしい外傷であり、通常は重度の事故や機械による損傷で発生するという。しかし、この患者が遭遇したのは事故などではなかった。それは、彼の話が次第に明らかにしていった。
患者の名前は小島と言い、彼は炭鉱労働者だった。ある夜、坑道の奥で不可解な音を聞き、好奇心からその音の正体を突き止めようとしたという。坑道の奥深くで彼は古代の石碑を発見し、その表面には見たこともない文字が刻まれていた。彼が石碑に触れた瞬間、全身に寒気が走り、その手から皮膚が剥がれ落ち始めた。
「それは…人の形をした何かだった…皮膚の下に…潜んでいるんだ…」小島は震えながら語った。
私たちは彼の狂言だと考えたが、翌朝、彼の言葉の意味を理解することになった。病院の片隅で、小島の姿が見つかった。しかし、それはもはや彼ではなかった。彼の身体は、完全に剥がれ落ちた皮膚が床に転がり、中からは異形の存在が現れていた。歪んだ顔とねじれた手足、その姿は言葉では表現しがたいほどの恐怖だった。
彼が口にした最後の言葉は、「それは…私の中にまだいる…」だった。私はその光景を目の当たりにしてしまい、理性が崩壊しそうになった。その後、異形の存在はすぐに消え去り、病院内にその痕跡を残すことなく、ただ静寂だけが残った。
事件後、私は病院を去ることを決意した。町の人々もまた、これ以上この場所に留まる理由を失い、炭鉱町は廃墟と化していった。しかし、私の心には、あの夜見たものが刻み込まれている。あれが何であったのか、真実を知ることはもうできない。しかし、確かなことは、私たちの皮膚の下に潜む恐怖が存在し、それがいつ目覚めるかわからないということだ。
これを読んでいるあなたも、皮膚の下に何かを感じることがあるかもしれない。決してその存在を疑わないでほしい。何故なら、それが目覚めた時、あなたの身にも同じ運命が訪れるかもしれないからだ。